●愛媛新聞 1998.4.25

 

ボクら流メセナ元気です
  
遊び心もち演奏会企画

新居浜の若手企業人ら 地道な活動、会員増やす

 

新居浜市内の若手経営者らを中心に結成した文化スクール「倶楽部 花鳥風月」(西田和子代表)が、地道な音楽後援活動を続けている。十九日には、同市内のギャラリーで室内楽コンサートを主催。観客の評判も上々で、メンバーは「草の根文化の発信源になれば」と意気軒高。バブル経済崩壊以降、大企業のメセナ活動に元気がない中、「地方で息の長い活動を続けたい」と意欲を見せている。

同倶楽部は六年、「気軽に楽しめる文化活動や街づくりに取り組もう」と、新居浜青年会議所(JC)のOB五人で結成。ほとんどがJC時代、シンポジウムや絵画展覧会などの実行委員をつとめた経験があり、企画はお手の物。メンバーに酒造会社や表具業、呉服店などの経営者がいたため、団体名もしゃれっ気を加えて和風にした。 コンサート会場には、メンバーの一人、表具店経営 西田泰治さん(四四)のギャラリーを利用。同年一月の琴演奏会を皮切りに、季節の節目ごとに年四回、雅楽やバイオリンなど洋・邦楽の演奏会を催している。

「当初は面白半分で始めた」(メンバー)と言うものの、活動が反響を呼び、十九日のコンサートですでに十八回目。約四十平方メートルの会場は、七十人ほどの音楽ファンでぎっしり。会員数も、現在は五百人にも増えた。メンバーすべてが、家業との“二足のワラジ”を履いているため、打ち合わせなどもままならまいというが、順調な成果に満足している様子。倶楽部の運営にあたる西田さんの妻、和子さん(四三)は「告知はまだまだ不十分だが、徐々に観客も増えている」と、活動の浸透を実感している。

大企業メセナは経済情勢に左右されるケースも多いが、西田さんは「遊び心が一番大切。利益を考えず、町おこしも視野に入れたい」と、息の長い活動を目視している。