総裏・仮張り

三度目の最後の裏打ちで薄糊で打ち刷毛を使います

 

これが総裏の為に準備する紙や材料などです。左から「敷紙」中上が「軸助け→軸棒の補強の為」中下が「軸袋→軸棒を付ける部分の用紙」、右上が「上巻→仕上がって巻いた時の表に出てくる薄絹部分」、右下が「宇田紙→手漉きの工芸品のような高価な和紙」です。

 

     

まず、敷紙を場板と絵の間に入れた後、水分を加えます。敷紙は絵や紙本が痛むのを防ぐためです。次に軸袋を着けます。軸袋は上軸、下軸を着ける為のもので,文字通り軸を包む袋のようなものです。

 

   

そして水糊をつけた上巻、宇田紙と置いていき、付回しにヘラを入れていきます。総裏を打つ糊は増裏より、やや濃くします。やはり水糊なので接着が弱いので打刷毛で叩きながら和紙が本来持っている粘着を利用しながら裏打ちをしていきます。打刷毛で叩き終わった後は、和紙の毛羽立ちをとり、撫刷毛で撫で込みます。ここでしっかり撫で込んでないと、仕上がった後、巻きの繰り返しにより本紙を痛めることにもなります。そして、撫で込みの後、軸助けを付けます。

 

   

そして素干し状態にします。こうする事により癖をより一層抜くことができます。乾いた後、水分を加え直し、仮張ります。ここで、総裏の作業は終わります。

 

     

次は掛けかえという作業で数日経過して乾燥した掛け軸を仮張りから外し、蝋をぬります。コレは数珠の滑りをよくするためです。数珠で裏擦りをします。裏擦りをすることにより、糊の層が砕けてこ慣れます。そして、もう一度仮張ります。この掛けかえも、簡単にいうと癖とりです。したがって23回と繰り返せば、掛け軸の掛かりに良い効果があります。

 

掛けかえが終わった後、じっくりと2〜3ヶ月自然乾燥をさせます。