〜墨が織りなす悠久の自然〜
仙遊寺会館に襖絵 玉川

四国霊場五十八番札所・仙遊寺(越智郡玉川町別所、小山田憲正住職)の信徒会館「創心舎」にこのほど、石鎚や瀬戸の島々などを描いた水墨画の襖(ふすま)絵が完成。

濃淡の墨で織りなす悠久の自然が、写経などで訪れた人々の心を和ませている。制作したのは、奈良県十津川村在住の日本画家・福井福山人さん(68)。昨年12月、同会館のギャラリーで展覧会を開いたのをきっかけに、小山田住職から一階の持仏堂計四十二面の襖絵を依頼された。

福井さんは祖父の代から続く京都の画家の家に生まれ、独学を重ねて前衛作家として活躍。20数年間、霧がたちこめた十津川村の荘厳な景色に感動し、以来同村で「霧立つ風景」をテーマに制作、京都市左京区の法然院をはじめ、毎年全国各地で作品展を開催している。

温泉旅館の大広間で約4ヶ月をかけて描いたという渾身の大作は、仙遊寺から眺めた満月を幻想的に描いた「観月より」、濃い墨を大胆にあしらった「四国の山並み」、水平線に島々が広がる「燧灘」−など7部で構成されている。

福井さんは、「四国の風景を思い浮かべて描いた持仏堂にぴったり合っている感じでホッとした。」と満足げな表情。小山田住職は「自然と手を合わせたくなる風景を見事に表現してくださった。」と感服していた。

9月30日から10月8日まで同会館ギャラリーで、妻で日本画家の雲(くも)さん(68)とともに水墨画展を開催。初日には横笛奏者の長男・幹(つよき)さん(43)も訪れ、一家そろってのコラボレーション芸術を企画している。

2001年8月15日